新たに制定された避雷針の新JIS規格とは

避雷針の旧JIS規格は日本独自の規格です。
そして、2003年に新JIS規格化されたことで、避雷針の保護角が高さと効率を重視されたものに変更されました。
この基準は2021年の現在でも変更されておらず、建築基準法では旧JIS規格と新JIS規格のどちらの採用も許可されています。

新JIS規格は日本独自の規格ではなく、IECという世界規格に合わせて翻訳されたもので、旧JISよりも雷保護に関してより厳格な基準となっています。そこで今回は、避雷針の新JIS規格について紹介していきます。

避雷針を設置する建築物の高さや種類によって細かく分類される新JIS規格

避雷針の新JIS規格は、建築物の保護レベルと高さによって保護できる角度が変動するのが特徴です。
レベルは建築物の種類別に制定されており、一般建築物や危険を貯蔵する建築物などの分類ごとにレベル分けされています。

高さの基準については、20m~60mまでの4段階と60mオーバーの5つに分類されており、60mを超過する建築物については角度が定められていません。
その理由としては、60mを超える建築物の場合、構造物の側面への落雷に関しては避雷針で受けることが挙げられます。

旧JIS規格の内容

旧JIS規格では主に保護角が60度と45度の2種類でしか定められておらず、基準が比較的少ないことが特徴です。

 

避雷針におけるその他法規とは?

 

ここでは、避雷針におけるその他の法規には「建築基準法」「消防法」の2つが挙げられます。
「建築基準法」「消防法」のいずれにも、避雷針に関する設置基準などの法規が定められているのです。
「建築基準法」では建物の高さ、「消防法」では危険物がそれぞれ避雷針の設置基準となっています。
ここでは、各法規に定められている規定について詳しくみていきましょう。

 

建築基準法に関する法規

 

建築基準法に関する法規によって建物の高さが20mを超えている場合は、避雷針の設置が必要です。
一方で、建物の高さが19.9m以下であれば、法的には設置を必要としません。
ただし、19.9mの場合も煙突や屋上広告、アンテナなどを設置して20mを超えた場合は避雷針を設置し、落雷を回避しなければなりません。
建物が低層であっても、何らかの設備を設置して20mを超えた場合は、避雷針は設置しなければならない点を認識しておいてください。

しかし、法的に低い建物だからといって落雷がないというわけではありません。
アンテナなどの突起物がある場合や落雷が多いエリア、山の頂上など高い場所に建築する場合には落雷の可能性が高いです。

これらに該当する場合は、建物が低く法的に問題がなかったとしても避雷針を設置した方がよいでしょう。
必要かどうか判断できない場合は、国土交通省が策定している建築設備計画基準を確認してみてください。
6項目の合計指数が40以上であれば設置が必要と判断できます。
法的に設置義務がない低い建物だとしても指数が40以上であれば、設置を検討しましょう。

また、高層ビルに囲まれたエリアに低層の建物を建築する場合、高層ビルに設置された既存の避雷針によって低層部分が保護されます。
所有者が同一の場合は、避雷針を共有して設置の免除が可能です。
所有者が同一でない場合や所有者が同一でもビルの解体や改築などで保護ができなくなった場合は、避雷設備の設置義務が発生するので覚えておいてください。

 

消防法関係に関する法規

 

消防法の法規では「建物の高さ」ではなく、「危険物の量」で設置要否が判断されます。
危険物の取り扱いが指定量10倍以上の製造所や貯蔵所などの場合は、避雷針を設置しなければなりません。
広い平野にポツンと建っているなど、周囲の状況を見て安全上問題がない場合はこの限りではないものの、原則設置した方がよいでしょう。
火薬取締法によれば、地上に設置する一般火薬庫にも避雷針を設置しなければなりません。

また、避雷設備の構造や設置する位置などは、経済産業大臣が告示で定めたものである必要があります。
建物が平屋で低層であっても避雷針の設置義務が発生するので、覚えておきましょう。

 

 

旧JIS規格に比べると基準が多く分類されることになった新JIS規格

今回は新JIS規格を10秒で解説してみました。
避雷針の規格では1990年に制定されたものを現在も採用しているケースも多く、傍目から見るとどの規格が採用されているのかを判断できません。 また、新JIS規格でも保護角の範囲内ならば絶対に問題がないという確証はないので、その点に関しては注意が必要です。

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